TOPPING DX5 II Silver Color Edition レビュー | 12.8万円のヘッドホンを鳴らし切る、5万円代のDAC内蔵アンプ

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TOPPING DX5 II Silver Color Edition レビュー | 12.8万円のヘッドホンを鳴らし切る、5万円代のDAC内蔵アンプ

この記事でわかること

  • 3色目として登場したシルバーが、Apple系のデスクにどれくらい馴染むのか
  • final DX4000CLとSennheiser IE 200を実際に鳴らしてわかった、出力の余裕と音の変化
  • 10バンドPEQ・クロスフィード・プリアンプまで、どこまでできるのか
  • どんな人におすすめで、どんな人には向かないのか

こんにちは。ガジェットブロガーのじゃが(@jaga_farm)です。

有線イヤホンやヘッドホンを持っているのに、結局PCのポートに直挿しで聴いている。そんな状態のまま何ヶ月も経ってしまった経験はありませんか?

ぼくがまさにそれでした。ずっと「据え置きのDACとアンプ、そのうち導入しよう」と思いながら、何を買えばいいのか決めきれずにいたんです。

そのモヤモヤに火をつけたのが、ヨドバシカメラで開催されていた「オトフェス」というオーディオイベントでした。ずらっと並んだ機材の中で、なぜかこの箱の前で足が止まったんですよね。筐体の仕上げがやたらと綺麗で、サイズ感もちょうどいい。で、値札を見て二度見しました。この内容で5万円代なのか、と。

それが「TOPPING DX5 II」です。ただ当時の国内展開はブラックとホワイトの2色のみ。ぼくのデスクはApple Studio Displayを中心にしたシルバー基調なので、正直どちらも「置けなくはないけど、ちょっと浮くな」と思って見送っていました。

その約1年後、3色目としてシルバー(Silver Color Edition)が登場します。これはもう、ぼくのデスクに合わないわけがない。というわけで、ようやくDX5 IIをデビューさせることになりました。今回はfinalのDX4000CLとSennheiser IE 200という、性格も価格もまったく違う2機種を組み合わせて、1ヶ月ほど使い込んでいます。

TOPPING DX5 IIの主な特徴
  • デュアルDAC構成:ESS ES9039Q2Mを左右に1基ずつ、計2基搭載
  • 価格帯では突出した出力:バランス出力で6,400mW×2(32Ω時)
  • 10バンドのパラメトリックEQ:設定を本体に保存できるハードウェア実装
  • ヘッドホン出力3系統:6.35mm / 4.4mmバランス / 4ピンXLRバランスを前面に装備
  • プリアンプとしても使える:背面にRCA・XLRのライン出力と12Vトリガーを搭載

それでは「TOPPING DX5 II Silver Color Edition レビュー | 12.8万円のヘッドホンを鳴らし切る、5万円代のDAC内蔵アンプ」を書いていきます。

本記事はMUSIN様より製品提供を受けて執筆しています。なお、評価内容は率直な使用感に基づいたぼく自身の意見です。

目次

TOPPING DX5 II Silver Color Editionのレビュー

項目
仕様
製品種別USB-DAC / ヘッドホンアンプ一体型(デスクトップ)
DACチップESS ES9039Q2M ×2(左右独立)
USB入力PCM 44.1〜768kHz/16〜32bit、DSD512(ネイティブ)
光・同軸入力PCM 44.1〜192kHz
Bluetooth5.1(LDAC / aptX Adaptive / aptX HD / AAC / SBC)※受信専用
ヘッドホン出力6.35mm / 4.4mmバランス / 4ピンXLRバランス
最大出力(バランス)7,600mW×2 @16Ω、6,400mW×2 @32Ω、990mW×2 @300Ω
最大出力(アンバランス)3,300mW×2 @16Ω、2,200mW×2 @32Ω
ライン出力RCA / XLR(固定・可変プリ出力を切替)
ノイズフロア約1.8μVrms
ディスプレイ2.0インチ フルカラーLCD(Aurora UI)
サイズ・重量190×155×44mm/約945g
カラーブラック / ホワイト / シルバー
価格税込54,450円前後(オープン価格)
発売日2025年7月18日(シルバーは2026年7月7日)
TOPPING DX5 IIの主なスペック

8/1より為替の影響で販売価格に変更がありました。

  • 販売価格(改定前):49,500円(税込)
  • 販売価格(改定後):54,450円(税込)
付属品

付属品は割とシンプル。

6.3mm to 3.5mmの変換アダプタも付属していました。これでアンバランス接続も安心です。

シルバーは「浮かない」色だった

まず色の話から。実際にデスクへ置いてみると、想像していた以上にStudio Displayの隣に馴染みました。

ただただ美しい。

これ、単に「シルバーだから合う」という話ではないんです。ホワイトの機材ってデスクの上だと意外と主張します。白は光を返すので、視線が吸い寄せられるんですよね。一方でシルバーのアルミは周囲の色を映し込むぶん、風景に溶けてくれる。Appleが延々とシルバーを作り続けている理由が、実際に置いてみて腑に落ちました。

そしてもうひとつ嬉しい出来事がありました。final DX4000CLに付属しているシルバーコートケーブルを挿した瞬間の見た目です。ケーブルのシルバーと筐体のシルバーが繋がって、一体の製品みたいに見えるんですよ。プラグ部分の金属とDX5 IIの筐体が同じトーンなので、境目が溶ける。これは狙って揃えたわけではなく完全に偶然だったので、挿してみて素直に「おっ」となりました。見た目だけで言えば100点です。

購入時に少し紛らわしいのが販路です。このシルバーはMUSIN直販限定という扱いになっているんですが、これは「MUSINが直接運営している店舗でしか買えない」という意味であって、実店舗だけという話ではありません。MUSINダイレクトショップに加えて、AmazonのMUSINストアでも取り扱いがあります。「直販限定=Amazonでは買えない」と勘違いしやすいので、ここは補足しておきます。

じゃが

ホワイトデスクの人はホワイト、Apple系のシルバーデスクならシルバー。ここは迷わなくていいポイントです!

Macとの接続で最初につまずくのは「USB A to B」

接続はUSBです。ただしDX5 II側の端子は「USB Type-B」という、プリンターなどでよく見る四角い形状のもの。付属しているのもUSB A to Bのケーブルです。

つまり、USB Type-Cポートしかない最近のMacBookに直接挿すことはできません。変換アダプタかドッキングステーションが別途必要になります。ここ、購入前に見落としやすいところだと思います。

ぼくの場合はもともとオーディオ用のA to Bケーブルを持っていたのでそれを使いましたが、持っていなくても付属品でとりあえず鳴らせます。安心してください。

光デジタル入力でPS5と繋ぐ|安く済ませる裏ワザ

DX5 IIはUSBのほかに、光デジタルと同軸デジタルの入力を備えています。光デジタルといえば、何に使うの?と思う方いるかも知れませんが、PS5に使えます。

PS5には光デジタル出力が付いていないんですよね。PS4 Proの世代で廃止されてしまったので、「光入力があるなら繋げるでしょ」と思って買うと、出す側が無いという事態になります。

そこで使うのが、USBから光デジタルを取り出す変換基板です。ぼくが用意したのはPCM2704というチップを積んだ小型のUSB DAC。PS5のUSBポートに挿すと、そこから光デジタル出力が生えるイメージですね。あとは光デジタルケーブル(角型TOSLINK)でDX5 IIに繋げば完成です。

この構成、パーツ2つ合わせて約2千円で揃います。据え置きのDACとアンプをゲーム機にも共用できると考えると、コスパはかなり良いです。

注意点としては、PCM2704は16bit/48kHzが上限だということ。ハイレゾ音源を流す用途には向きませんが、ゲームの音声なら必要十分です。むしろゲームでDX5 IIの出力を使えるメリットの方がはるかに大きいと思います。

まずSennheiser IE 200をアンバランス接続で鳴らしてみた

DX5 IIが先に届いて、それに合わせて購入したfinal DX4000CLがまだ手元に来ていなかった時期がありました。そこで手持ちのSennheiser IE 200(税込23,760円の有線イヤホン)を、付属の6.35mm→3.5mm変換アダプタ経由で繋いでみたんです。

結論から言うと、これが今回いちばん驚いた瞬間でした。

IE 200はこれまでMacBook Airに直挿しで聴くことがほとんどだったんですが、DX5 IIを挟むと完全に別物です。何が変わったかというと、まず音の奥行きが違う。MacBook直挿しだと音が平面的に並んでいたのが、前後の距離感が出てきます。それから解像感と粒立ち。「このイヤホン、こんなに鳴らせたのか」と思わず声が出ました。

しかもこれ、バランス接続ですらないんです。ただの3.5mmアンバランス。それでこの差が出るというのが、正直いちばん衝撃でした。

全体としては低音がやや物足りなく感じましたが、そこは後述するPEQで持ち上げれば済む話です。有線イヤホンを持っていて、そのポテンシャルを引き出せていない自覚がある方には、導入する価値がかなりあると思います。

final DX4000CLをバランス接続|密閉型で「開放型の抜け」が出る

本命の組み合わせがこちらです。少し個人的な話をさせてください。

ぼくは以前、Sennheiser HD 6XXを個人輸入で持っていました。開放型の抜け感が本当に好きだったんです。ただ、ぼくのPCデスクはリビングにあります。開放型は外の音がそのまま入ってくるので、子どもが騒いでいると音楽どころではない。結局まともに使えないまま、HD 6XXは手放してしまいました。今でもちょっと苦い記憶です。

だから今回DX4000CLを選んだ理由は、ひとつしかありません。密閉型なのに、開放型のような抜けが出る。音フェスで試聴したときにその感覚があって、それが決め手でした。

スペックは37Ω(1kHz)、感度96dB/mW、重量375g。和紙とカーボンを組み合わせた振動板を使った密閉型で、価格は128,000円です。付属のシルバーコートケーブルが4.4mmバランス端子なので、そのままDX5 IIの4.4mmに挿せます。

で、実際に鳴らした音の話です。

いちばん恩恵を感じたのはジャズとクラシックでした。楽器の質感と、その楽器が鳴っている空間の広さが出るタイプなんですよね。ピアノの低い鍵盤を叩いたあとの余韻とか、弦楽器の弓が返るところとか、今まで「そういう音がしてるんだろうな」と想像で補っていた部分が、ちゃんと聞こえるようになります。DX5 IIの背景の静けさ(ノイズフロア約1.8μVrms)が効いているのは間違いないと思います。

女性ボーカルも良いです。息継ぎの位置や、口の開き方の違いまで拾ってくる。ギターの弦が擦れる音、ドラムのスティックが当たった瞬間の硬さ。音源の良し悪しにもよりますが、明らかに情報量が増えます。

低音については、少し補足が必要です。DX4000CLは「低音が弱い」というより、量ではなく速さで鳴らすタイプだと感じています。ズンと包み込むような量感を期待すると物足りない。でもベースラインの音程はきっちり追えるし、キックの立ち上がりと止まりがはっきりしている。締まった低音が好きな人には刺さると思います。逆に量が欲しければ、これも後述のPEQで足せます。

正直に書いておくと、高域は楽曲によって鋭く感じることがあります。細かい音までよく出るぶん、もともと高域がキツめにマスタリングされた音源だと、そのキツさもそのまま出てくる。DX5 IIが色付けをしないタイプなので、なおさら素直に出ます。ここもPEQで削れる範囲ではありますが、「全部の音源が優しく鳴る組み合わせ」ではないことは伝えておきます。

装着感も書いておきましょう。イヤーパッドとヘッドパッドがかなり分厚く、そして柔らかいです。ぼくがこれまで使ってきたヘッドホンの中では一番の質感かもしれません。側圧はそこまで強くなく、2〜3時間連続でつけていても頭が痛くなりませんでした。さすが高級ヘッドホンといったところです。

ちなみに付属ケーブルは2mあります。デスクの奥にヘッドホンを置いても長さは余裕で、隣の物を取るくらいの動作でいちいち外す必要がありません。取り回しはかなり良いです。ただ余裕がありすぎて、ヘッドホンスタンドをどこに置くべきかは今も少し悩んでいます。

あとこれは余談なんですが、DX4000CLに付いてくるシルバーコートケーブルは、単体だと4〜5万円クラスの品質があると言われています。兄弟機のDX3000CLが7万円台に収まっていることを考えると、DX4000CLの12.8万円という価格はケーブル込みで見るべき数字なんですよね。そのケーブルがそのままDX5 IIのシルバーと噛み合ったので、結果的に相当お得な買い物になりました。

12.8万円のヘッドホンを、約5.4万円の機材が鳴らし切っている。この価格比を考えると、DX5 IIのコスパは相当おかしいと思います。

ゲインは「Low」で十分すぎた

実際に鳴らしてみて驚いたのが、パワーが余りすぎていることでした。

DX5 IIにはゲインのLow/High切り替えがあるんですが、Highだと快適に聴ける音量が−43dB付近。Lowでも−30dB前後で十分な音量が取れます。つまり37ΩのDX4000CLに対しては、Lowでまったく問題ないどころか、Lowの方がボリュームノブの調整幅を細かく使えて扱いやすい

finalのヘッドホンは全体的にローインピーダンス寄りなので、出力が控えめなアンプでも鳴らせる設計になっています。そこにDX5 IIを持ってくると、完全にオーバースペック。ただこのオーバースペックが、音量を上げても音が崩れない余裕として効いてきます。

300ΩクラスのSennheiser HDシリーズのような鳴らしにくいヘッドホンでも990mW×2ありますから、今後どんなヘッドホンを買っても困らないはずです。HD 6XXを手放していなければ試せたのに、というのが唯一の心残りですね。

10バンドPEQ|Topping TuneはMacでも動く

DX5 IIの目玉機能が10バンドのパラメトリックEQです。

一般的なイコライザーは「低音」「中音」「高音」のように決まった帯域を上下させるものですが、パラメトリックEQは違います。触れる周波数を自分で決めて、そこをどれだけ持ち上げるか(Gain)、どのくらいの幅で効かせるか(Q値)まで指定できる。ピンポイントで音を作れるわけです。

Screenshot

設定にはPC用の「Topping Tune」というソフトを使います。ここ、ネットで調べると「Windowsのみ対応」という情報が多く出てくるんですが、これは古い情報です。現在はmacOS版のV1.16が公式配布されていて、対応OSはmacOS 12以降。ぼくのMacからも問題なく直接繋がりました。

前述のとおりDX4000CLは低域が主張するタイプではないので、物足りないと感じたときにPEQで低域を持ち上げています。高域が鋭く感じる音源のときは、逆に該当帯域を少し削る。これがなかなか楽しい。

そして地味に効いてくるのが、設定を本体に保存できるという点です。ソフト側だけの設定だと、別のMacに繋いだ瞬間に元の音に戻ってしまいますよね。DX5 IIは本体側が設定を覚えているので、繋ぎ替えても自分の音のまま使えます。標準プリセット5つを編集でき、さらにカスタム設定を5つ本体に保存できる仕様です。

クロスフィード|「古い録音」のための機能だった

2026年1月30日配信のファームウェアV2.07で追加されたのが、クロスフィード機能です。これがなかなか面白い。

ヘッドホンって、左chの音は左耳にしか届きません。でもスピーカーで聴くときは、左スピーカーの音が少し遅れて、少し減衰しながら右耳にも届いているんですよね。この「回り込み」を電気的に再現するのがクロスフィードです。単純に左右を混ぜているのではなく、遅延と周波数ごとの減衰まで含めて処理しているのがポイントで、モノラル化とはまったく別物です。

そしてDX5 IIのクロスフィード、実は複数のモードが用意されています。シンプルに混ぜる「Simple」系のほか、部屋の響きまで含めて畳み込む「Convolution」系まであって、性格がかなり違います。ぼくは最初これを知らず、オンオフだけ切り替えて「よくわからないな」で止まっていました。もったいないことをしました。

調べてみると、この機能がいちばん刺さるのは1960〜70年代のステレオ初期録音だそうです。当時は「ボーカルは完全に右、ドラムは完全に左」というような極端な定位が普通でした。初期のビートルズやボブ・ディラン、デイヴ・ブルーベックあたりですね。ああいう音源をヘッドホンで聴くと、片耳だけで鳴っている不自然さが気になるんですが、クロスフィードを入れると音像が耳の外側・前方に寄って、ぐっと聴きやすくなる。

逆に、ヘッドホン再生も想定して作られた現代のミックスだと、音場が狭まって「かえって悪くなった」と感じる人が多いようです。つまりこれは常時オンにする機能ではなく、音源に応じて切り替えるスイッチとして持っておくものなんですね。

そう考えると、DX4000CLのような密閉型を持っている人にはかなり嬉しい追加機能です。古い名盤を掘るときの武器がひとつ増えたことになります。ぼくもこれからモード別に詰めていくつもりなので、手応えが出たらこの記事に追記します。

じゃが

古い録音を聴くならConvolution系から試すのがおすすめ!現代のミックスではオフに戻すのがコツです

ちなみに、こうした機能がファームウェアの無料アップデートで後から降ってくるのもDX5 IIの良いところです。最新版はV2.31(2026年7月6日配信)で、不具合修正も継続的に入っています。買った後に育つ機材、というのは単純に嬉しいですよね。

リモコンが優秀で、本体をほとんど触らなくなった

付属リモコンは思った以上に多機能です。

上方に電源と消音ボタンが配置されていて、音量も操作可能。中央のボタンでメニューを開き、左で入力切り替え、右で出力切り替えという十字キー構成になっています。

便利なのがA/BとC1/C2のボタンです。A/Bには自分でカスタマイズしたイコライザー設定を割り当てて切り替えられます。C1/C2はEQプリセットだけでなく、機器全体の設定をまるごと切り替えられるので、「ヘッドホン用」「スピーカー用」のようにシーンごとの構成を登録しておけます。

右下のボタンでは画面表示を切り替えられて、再生情報・FFTスペクトラム・VUメーターを行き来できます。VUメーターが揺れているのを眺めているだけで、まあまあ時間が溶けます。

結果として、本体に触ることはほぼなくなりました。設定はリモコンでだいたい完結します。

出力モードは「ALL」のままにしない方がいい

これは購入直後に知っておくと得をする設定です。

初期状態のDX5 IIは、すべての端子から同時に出力する「ALL」モードになっています。とりあえず何を挿しても音が出るので、最初はこれで正解です。

ただ使い方が固まってきたら、モードを切り替えた方が快適です。設定は「MENU → Output settings → Output option」から。ヘッドホン専用ならヘッドホン出力だけに絞っておく、といった具合ですね。

ヘッドホンの先まで面倒を見てくれる|5万円で全方位カバー

ここまでイヤホン・ヘッドホンの話ばかりしてきましたが、DX5 IIの守備範囲はもっと広いです。

背面にRCAとXLRのライン出力があって、これを可変出力に切り替えるとプリアンプとして使えます。アクティブスピーカーやパワーアンプに直接繋いで、DX5 IIのボリュームノブとリモコンで音量を操作できるわけですね。さらに12Vトリガーの入出力まで付いているので、DX5 IIの電源を入れると繋いだアンプも自動で立ち上がる、という連動もできます。

つまりこの1台で、

  • 入力:USB・光デジタル・同軸デジタル・Bluetooth(PC / ゲーム機 / スマホ)
  • 出力:ヘッドホン3系統(6.35mm / 4.4mm / XLR)+ スピーカー系(RCA / XLR)
  • 音の調整:10バンドPEQ・クロスフィード・ゲイン切替

ここまで全部まかなえてしまいます。デスクオーディオで必要になる箱が、普通ならDACとヘッドホンアンプとプリアンプで3つに分かれるところを、1つに畳んでいるわけです。しかも税込5万円代。

ぼくは現時点ではヘッドホンとイヤホンが中心なので、スピーカー側の機能はまだ本気で使えていません。ただ逆に言えば、今後スピーカーを導入しても買い替えが要らないということでもあります。デスクオーディオって沼にハマると機材が増えていくものですが、DX5 IIは増やす前に一度立ち止まらせてくれる。この安心感はけっこう大きいです。

TOPPING DX5 IIで気になった点

最後にTOPPING DX5 IIの気になった点を紹介します。

Bluetoothアンテナの存在感がすごい

今回大満足のTOPPING DX5 IIでこれが一番気になりました。

DX5 IIはBluetooth 5.1に対応していて、LDACやaptX Adaptiveといった高音質コーデックも受信できます。ただしそのためには、付属のBluetoothアンテナを背面に装着する必要があります。

このアンテナ、色がブラックのみなんです。せっかくシルバーで揃えた筐体に、黒い棒が1本立つ。写真を撮るとこれが本当に目立ちます。デザインで選んだ人ほど気になるはずです。

対策としては、デスクシェルフの下に本体を置いてアンテナを隠す配置がおすすめです。

あと誤解しやすいので補足しておくと、DX5 IIのBluetoothは受信専用です。スマホから飛ばした音をDX5 IIで受けることはできますが、逆にDX5 IIからBluetoothヘッドホンへ音を送ることはできません。ここを勘違いすると「繋がらない」となります。

ぼく自身はMacからのUSB接続がメインなので、Bluetooth機能はほとんど使っていません。ただスマホアプリ「TOPPING Home」を使うにはこのアンテナが必須になるので、アプリで操作したい人は外せない装備になります(アプリ対応にはファームウェアV2.27以上が必要です)。

PEQを使うと、サンプリング周波数に上限がかかる

これは知らないと確実に混乱するポイントです。

PEQを有効にすると、扱えるサンプリング周波数に制限がかかります。

入力通常時PEQ有効時
USBPCM 768kHz/32bit・DSD512PCM 192kHz/32bitまで(DSDは対象外)
光・同軸PCM 192kHzPCM 192kHz/24bitまで
BluetoothPCM 96kHz/24bitまで
PEQ有効時のサンプリング周波数制限

ぼくの環境でも、PEQをオンにした状態でちょうど使えるのが32bit/192kHzという結果になりました。これは公式マニュアルどおりの挙動なので、故障でも設定ミスでもありません。

実用上、192kHzで足りないという場面はほとんどないはずです。ただDSD音源やハイサンプリング音源をメインで聴く方は、PEQをオフにするか、プレーヤー側の出力を192kHz以下に設定しておく必要があります。音が出な行ことはありませんが、PEQ聞いてないと焦る前に、まずサンプリング周波数を疑ってください。

4.4mm端子について、海外で報告が出ている

これは自分の体験ではないのですが、購入を検討している方には伝えておくべきだと思ったので書きます。

Redditや海外オーディオフォーラムで、DX5 IIの4.4mmバランス端子に関する接触不良・音の歪み・ドロップアウトといった報告が複数上がっています。投稿数から不良率を出せるものではないので「設計不良」と断定はできませんが、複数あるという事実は無視しにくいところです。

ぼく自身はDX4000CLを4.4mmバランスで1ヶ月ほぼ毎日使っていますが、今のところ何のトラブルも起きていません。個体差か、ケーブル側との相性の問題という可能性もあります。

ただ、4.4mmをメインで使う予定なら、保証と返品条件がはっきりしている正規販売店から買っておくのが安心です。国内正規販売の保証は1年。届いたら小さめの音量から全出力を一度確認しておくといいと思います。

競合機と比べてどうなのか

5万円前後の据え置きDAC/アンプで比較すると、DX5 IIの立ち位置がはっきりします。

機種価格の目安出力(32Ω)特徴
TOPPING DX5 II54,450円6,400mW×210バンドPEQ・LDAC・3系統出力・プリアウト
iFi ZEN DAC 339,600円前後390mWXBass+など音作り重視
FiiO K112万円台660mW級入門機として価格を抑えられる
FiiO K17165,000円前後4,000mWネットワーク再生・31バンドPEQ
5万円前後のデスクトップDAC/アンプ比較

数字を並べると、出力の差が異常なことになっています。1万円安いiFi ZEN DAC 3に対して、DX5 IIは約16倍の出力。しかも上位の16.5万円クラスであるFiiO K17と比べても、DX5 IIの方が数字上は大きいという逆転が起きています。

ただ、ここは公平に書いておきます。実はぼく、HD 6XXを使っていた頃にiFiのZEN DACとZEN CAN Signature 6XXを組み合わせて使っていた時期があるんです。あれはあれで本当に良い機材でした。iFiは「正確に鳴らす」よりも「気持ちよく鳴らす」方向に振ってあって、XBass+のような音作りの機能が楽しいんですよね。HD 6XX専用チューニングという世界観も含めて、所有する喜びがありました。

対してDX5 IIは、味付けをせずヘッドホンの素の性格を出してくる方向です。だからこそPEQで自分好みに寄せる前提の設計になっている。iFiは「メーカーの用意した美味しい音」、TOPPINGは「自分で作る音」と考えると、性格の違いがわかりやすいと思います。

個人的には、これから鳴らしにくいヘッドホンに手を出す可能性があるなら、出力に余裕があるDX5 IIを選んでおくのが後悔しない選択だと思います。

TOPPING DX5 IIはどんな人におすすめ?

TOPPING DX5 IIはこんな人におすすめ
  • 有線イヤホン・ヘッドホンを持っているが、PC直挿しのまま放置している人
  • Apple製品でシルバーに統一したデスクを組んでいる人(シルバー一択です)
  • イコライザーで自分好みの音を作り込みたい人
  • 今後、鳴らしにくいヘッドホンを買う可能性がある人
  • ヘッドホンとスピーカーの両方を、将来的に1台でまかないたい人
  • PCとゲーム機の音を1台に集約したい人

逆に、あまり向かないのはこういう方です。

  • Bluetoothヘッドホンがメインの人:DX5 IIのBluetoothは受信専用なので、無線ヘッドホンへ送信する用途には使えません
  • DSD音源をPEQと併用したい人:DSDはPEQの対象外です
  • とにかく小さく済ませたい人:190×155×44mm・945gは、デスク上でそれなりに場所を取ります

まとめ

1ヶ月ほぼ毎日使ってみて、率直な感想として、かなり気に入っています。

いちばん効いたのは、手持ちのイヤホン・ヘッドホンが軒並みグレードアップしたことです。新しいイヤホンを買ったわけではないのに、IE 200もDX4000CLも別物になった。この体験は、正直かなりコスパが良いと思います。

良かった点気になった点
手持ちの有線機の実力を引き出せるBluetoothアンテナが黒のみで目立つ
37Ωのヘッドホンならゲインは「Low」で余裕PEQ有効時は192kHzが上限になる
PEQを本体に保存できる(Macでも設定可)USB Type-B接続なのでMacBookには変換が必要
クロスフィードなど機能が後から増える4.4mm端子について海外で報告あり(自分の個体は問題なし)
シルバーがApple系デスクに完全に馴染むDX4000CLとの組み合わせでは高域が鋭く出る音源もある
ヘッドホンからスピーカーまで1台でカバー945gとそれなりに設置スペースを要求する
TOPPING DX5 IIの評価まとめ

ヨドバシのオトフェスで初めて見かけたときに感じた「この内容で4万円代は安すぎないか(イベント当時は49,500円)」という印象は、1ヶ月使った今もまったく変わっていません。為替により販売価格が値上げされた今でもやすいです。

有線イヤホンやヘッドホンを持っていて、そのポテンシャルを引き出せていない自覚があるなら。そしてデスクをシルバーで統一しているなら。これはかなり素直におすすめできる1台です。

最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた〜!

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