この記事でわかること
- 握るだけで3段の脚が同時に伸びる「X-Clutch」の使い心地
- ハンドルが畳めること、足幅が広いことが、自宅撮影でどう効いたか
- 写真用(6285)と動画用(6286)、雲台の違いとどちらを選ぶべきか
- 雲台の交換まわりや最低高など、気になった点
こんにちは。ガジェットブロガーのじゃが(@jaga_farm)です。
一脚を使っていて、ハンドルの出っ張りが邪魔だと感じたことはありませんか? 握って伸ばすタイプの一脚はとにかく便利なんですが、高さを操作するハンドルが本体から横に飛び出したままなんですよね。立てておくにも、ケースにしまうにも、あの1本がいちいち引っかかります。
今回レビューするのは、そのハンドルを畳めるようにしてきた一脚です。SmallRigとYouTuberのPotato Jet氏が共同開発した「TRIBEX PRO X-Clutch油圧式一脚」。ハンドルを握るだけで3段のカーボン脚が同時に伸び縮みし、手を離した位置でロックされます。
シリーズは4モデルありますが、今回はボール雲台付きの写真撮影用バージョン(6285)と、ビデオ雲台付きの動画撮影用バージョン(6286)の2本をご提供いただきました。2週間ほど、自宅での物撮りを中心に2本を入れ替えながら使ってきたので、違いも含めて書いていきます。
- X-Clutch油圧式ロック
ハンドルを握るだけで3段のカーボン脚が1秒未満で同時に伸縮し、離せば自動でロック - ハンドルとペダルを折りたためる
出っ張りがなくなり、付属ケースにすっきり収まります - 雲台とベースをワンタッチで着脱
脚部は2モデル共通なので、雲台だけを付け替えて使い分けられます - 足元ペダルで固定と回転を切り替え
つま先で踏むとベースのロックが外れ、本体を回したり傾けたりできます - 接地半径230mmのワイドベース
SmallRigの従来ベースより約10%広く、自立させたときの安定感が増しています - 写真用はArca-Swiss、動画用はDJI RS互換
雲台以外の部分は同じなので、撮るものに合わせて選べます
それでは「SmallRig x Potato Jet TRIBEX PRO 一脚 レビュー | 写真用6285と動画用6286を使い比べ。ハンドルまで畳める油圧式カーボン一脚」を書いていきます。
SmallRig x Potato Jet TRIBEX PRO 一脚のレビュー
重量と収納長は、SmallRig公式サイトの現行の表記に合わせています。販売店によっては古い数値(約2.1kg、87cmなど)が載っている場合があるので、比較するときは気をつけてください。
開けた瞬間に気に入ったのは、ハンドルが畳めること


箱から出して最初にいいなと思ったのは、伸縮操作用のハンドルを本体に沿わせて折りたためることでした。
ぼくは同様の「握って伸ばす」方式の他社製一脚を使ったことありますが、こちらはハンドルが畳めないので、使っていないときも横に出っ張ったまま。部屋の隅に立てておくと、ちょうど通り道に向かってハンドルが突き出してくるんですよね。


TRIBEX PROはハンドルに加えて、足元のペダルも畳めます。グリップ部分のシリコンハンドルまで含めて出っ張りがほとんどなくなるので、畳んだ姿はただの1本の棒に近い。

付属のケースにもスッと入ります。
持ってみると、重量は6285で約2.2kg、6286で約2.6kg。雲台込みの数字なので、数値以上に軽く感じました。片手でケースごと持ち上げて別の部屋へ移動する、という動きが苦になりません。
じゃが出しっぱなしにせず、使うたびに片付けたい人にぴったりです!
X-Clutchは「握る、伸ばす、離す」で高さが決まる


この一脚の心臓部が、X-Clutchと呼ばれる油圧式のロック機構です。ハンドルを握るとロックが外れ、3段の脚が同時に動くようになります。高さを決めて手を離せば、その位置でロック。段ごとにレバーを開け閉めする必要がありません。




物撮りって、「あと少しだけ下げたい」が何度も来ますよね。そのたびにレバーを3つ操作していたら、構図を詰めるテンポが途切れてしまいます。X-Clutchならハンドルを握ってスッと下げるだけ。メーカーは従来のツイストロックやレバーロックと比べて最大5倍速いとしていて、実際に使ってみると、高さ調整のために撮影を止めている感覚がほぼなくなりました。




作業高さは約90〜170cmで、無段階に調整できます。最大まで伸ばすと、ぼくの目線より上まで届きます。一脚1本でこの高さが出せるのは、俯瞰ぎみに撮りたいときにありがたいです。
ちなみに今回のTRIBEX PROは新世代の「油圧式外部圧縮ロック機構」を採用していて、SmallRigによると従来世代のX-Clutchと比べて安定性が50%、耐荷重性能が30%向上しているそうです。伸縮時の動作音も、一般的な機械式一脚の77dBに対して27dBまで抑えたとのこと。動画を撮りながら高さを変えても、カチャカチャという音が入りにくいのは動画勢にはうれしい点です。
足幅が広く、自立させたときの安定感が増している


脚を広げて床に立ててみると、普段使っている一脚より足幅がひと回り広いことに気づきます。公式の数値では接地半径230mm、SmallRigの従来ベースと比べて約10%のワイド設計です。


この差が、立てたときの安心感にそのまま出ていました。脚が少し長めなぶん、ちょっと触れた程度の揺れでは倒れる気配がありません。
脚の開き角は2段階で切り替えられます。基本は浅いほうで使い、より踏ん張らせたいときにもう一段広げる、という使い方になると思います。使わないときは脚を畳めば、そのままケースに収まります。
足元ペダルで、本体を回したり傾けたりできる


ベースにはペダルが付いていて、つま先で踏むとロックが外れます。




外れている間は、ベースを支点に本体を360度回したり、傾けたりできるようになります。


ひとつクセがあるのは、ロックの戻し方です。踏んで解除したあと、本体をまっすぐに戻しただけでは固定されません。ペダルを足で持ち上げる操作をして、はじめてロックがかかる仕組みです。最初は「まっすぐにしたのに止まらない?」と戸惑いましたが、意図せずロックされないということでもあるので、慣れれば気になりません。


ここで便利だったのが、本体に付いている持ち手用のストラップです。このストラップは本体を軸にくるっと回転するので、どの向きからでも握れます。ペダルを解除して本体を振るときに、このストラップを手すり代わりにつかむと安定するんです。
雲台とベースが外れるから、ローアングルも撮れる


TRIBEX PROは、上の雲台と下のベース(ミニ三脚部分)を、どちらもワンタッチで外せます。




ベース側は、回転させると本体から切り離せて、戻すときは上から押し込むだけ。雲台側も同じ考え方の機構で、こちらはレバーを回した状態のまま差し込んで取り付ける形でした。どちらも数秒で付け外しできます。


これが効くのがローアングルです。一脚の本体を抜いて、ベースに雲台を直接載せれば、床すれすれの位置にカメラを置けます。一脚のままでは届かない低さなので、テーブルの上の小物を低い視点から撮りたいときに重宝しました。


そしてもうひとつ。脚とベースは6285と6286で共通です。雲台さえ付け替えれば、1本の一脚でボール雲台とビデオ雲台を使い分けられます。今回2本そろえて試せたからこそわかったポイントでした。
ケースと内蔵ストラップで、持ち出しも片付けも楽


付属のケースは質感がしっかりしていて、安っぽさがありません。手提げのバッグタイプなので肩に掛けることはできませんが、家の中や車までの移動なら困らないと思います。
先ほどの持ち手用ストラップがあるので、ケースに入れずにちょっと運ぶ程度ならストラップを持てば十分です。長い距離を肩に掛けて歩きたい人は、ショルダーストラップを別に用意したほうがいいでしょう。本体にはストラップの取り付けポイントがあります。
写真撮影用(6285):Arca-Swissのボール雲台とL字ブラケットの相性が抜群




6285には低重心のボール雲台が付いていて、クイックリリースはArca-Swiss互換です。


ボール雲台本体はくるくると回すだけで取り付けられ、360度回るので向きの調整も簡単。締め付けの硬さ(減衰)は7段階で調整でき、雲台の耐荷重は12kgあります。


今回はあわせて、SmallRigのソニーα7シリーズ用L字型ブラケット(3660)もご提供いただきました。




これをα7Vに付けて6285に載せると、横位置と縦位置をブラケットの付け替えだけで切り替えられます。
ボール雲台だけで縦位置にしようとすると、カメラが横に倒れて重心がずれ、一脚の上で不安定になりがちですよね。L字ブラケットなら、縦にしてもカメラの重心が一脚の真上に乗ったまま。ブログ用の横写真とリール用の縦写真を続けて撮る使い方には、この組み合わせがかなりハマりました。



6285を買うならL字ブラケットもセットで検討するのがおすすめ!
動画撮影用(6286):DJI RSのプレートがそのまま使えるビデオ雲台


6286は雲台がフルードビデオ雲台に変わり、クイックリリースはDJI RSシリーズとManfrotto 501PLに対応しています。




DJIのジンバルを使っている人なら、カメラに付けたプレートをそのまま一脚に載せ替えられるのが大きな違いです。ジンバルから一脚へ、一脚からジンバルへの移行が一瞬で終わります。


ボール雲台との違いは、動かし方の自由度です。ボール雲台は全方向に一気に動くぶん、「横にだけ振りたい」ときに縦方向まで動いてしまうことがあります。ビデオ雲台はパン(水平方向)とチルト(上下方向)を別々に固定できるので、パンだけ、チルトだけという動きが簡単に作れました。
雲台の耐荷重は6kgで、チルトは上方向に90度、下方向に65度まで動かせます。可動域はかなり広い印象です。固定式のカウンターバランスも内蔵されていて、カメラを前に倒したときにそのまま落ちていこうとする力を支えてくれます。
なお、先ほど書いたとおり脚部は6285と共通です。違うのは雲台とクイックリリースの規格だけ、と覚えておけば選びやすいと思います。
6285と6286、雲台の違いをスペックで比べる


2本の違いは雲台だけ。価格も同じ74,290円なので、どちらを選ぶかは雲台の性格で決めることになります。カタログスペックを並べると、こうなります。
| 項目 | 6285(ボール雲台) | 6286(ビデオ雲台) |
|---|---|---|
| 雲台の耐荷重 | 12kg | 6kg |
| 動きの重さ(減衰) | 7段階で調整可 | 固定 |
| カウンターバランス | なし | 固定式 |
| チルト範囲 | ー | 上90°/下65° |
| クイックリリース | Arca-Swiss互換 | DJI RS/Manfrotto 501PL互換 |
| 重量(一脚全体) | 約2.2kg | 約2.6kg |
表を見て意外だったのは、重い機材に強いのは写真用の6285のほうだということです。耐荷重は12kgと動画用の倍あり、動きの重さも7段階で変えられます。望遠レンズのような重い機材を載せるなら、6285のほうが余裕があります。
一方の6286は、動きの重さもカウンターバランスも固定で、調整ができません。メーカーが想定した重さのカメラなら、何も触らずにスムーズに振れるのが強みです。逆にいうと、載せる機材が想定から外れると合わせ込む手段がありません。ミラーレスにレンズ1本くらいの構成で、手間をかけずにパンやチルトをしたい人向けの雲台だと思います。
なお、約400gの重量差はほぼ雲台の差です。持ち運びの軽さを優先するなら、ここも6285に軍配が上がります。
実際に載せてみた感触も書いておきます。普段使っているα7Vに、24-70mm F2.8 GM IIと、新しい100mm F2.8 Macro GMを付けて試しましたが、この2本では不安を感じることはありませんでした。
望遠レンズも載せてみました。倒れやすくなるといったことはなかったものの、望遠を付けると少し怖い、というのが率直な感想です。どれだけ安定していても、あくまで一脚ですからね。重いレンズを使うときは、耐荷重に余裕がある写真用の6285を選ぶのが合っていると思います。
6285の減衰調整も試してみました。ぼくの手持ちのレンズなら軽めの設定で十分で、望遠レンズのときだけ少し重めに調整しています。レンズに合わせて動きの重さを変えられるのは、固定式の6286にはない良さです。
もうひとつ、ぼくが普段一脚に載せているManfrottoのビデオ雲台500Xと比べて気づいたのが、縦位置撮影です。500Xはカメラを横に90度倒して縦動画を撮れますが、6286のビデオ雲台は縦位置にできません。リールやショート動画のように縦で撮る機会が多い人は、ここは注意してください。縦横を切り替えたいなら、6285にL字ブラケットを組み合わせるほうが手っ取り早いです。
1/4ネジ×2で、マジックアームやバッテリーも足せる


本体の雲台に近い位置には、回り止め付きの1/4″-20ネジ穴が2つあります。ここにマジックアームを付ければ、モニターやライトなどのアクセサリーを一脚にまとめられます。
先日レビューしたSmallRigのモバイルバッテリー「Nano36/Nano72」も、マジックアーム経由でここに取り付けられます。そのときに一緒に試したSmallRigのマジックアームとの組み合わせなら、照明への給電まで一脚の上で完結します。同じメーカーでそろえると、こういう拡張がスムーズなのはうれしいところです。
気になった点
最後にSmallRig x Potato Jet TRIBEX PRO 一脚の気になった点をまとめていきます。
雲台を交換するためのベースは、まだ単品で売られていない




使っていて一番惜しいと感じたのがここです。雲台がこれだけ簡単に外せるなら、ワンタッチ着脱のベース部分だけを単品で買って、手持ちの好きな雲台を付けたいと思いませんか?
ところが調べた限り、雲台側に取り付けるクイックリリースの受け部品は、2026年10月時点で単品販売されていません。しかもSmallRigの公式サイトには、TRIBEX PROの円形プレートは他社のArcaベースに付けられる一方で、他社のArcaプレートはTRIBEX PRO側の円形の受けには付けられないという注意書きがあります。「Arca互換だから手持ちのものが全部使える」とは考えないほうが安全です。
なお、雲台なしで脚とベースだけの「標準バージョン(6283)」というモデルはあり、トップの1/4″-20/3/8″-16ネジに好きな雲台を付けることはできます。ただ、ワンタッチで雲台を付け替える楽しさは、専用の受け部品が出てこそだと思います。



手持ちの雲台を使いたい人は、6283も比較してチェックしてください!
最低高は雲台込みで約90cm。スペック表の数字には注意


もうひとつ気になったのが、一番縮めたときの高さです。公式の作業高さは約90〜170cm。3段の脚をすべて縮めても、本体の長さ(収納長は約89cm)より低くはなりません。
ただ、この90cmは雲台を付けた状態の数字です。雲台を外して測ってみると、写真用のボール雲台で約11cm、動画用のビデオ雲台で約11.5cmありました。つまり一脚本体としては80cm弱。実際、雲台なしで売られている標準バージョン(6283)の最低高は79cmで、計算がほぼ合います。
一脚の最低高は、雲台なしの数字で載っていることが多いんですよね。ほかの一脚とスペック表を並べると、TRIBEX PROだけ10cmほど高く見えてしまいますが、条件をそろえれば極端に高いわけではありません。比べるときは、雲台込みかどうかを確認してみてください。
とはいえ、カメラを載せた状態で90cmより下には構えられないのは事実です。座った姿勢で撮りたいときなど、もっと低い位置が必要なときは、先ほど書いたように本体を抜いてベースに雲台を直接載せる、という逃げ道を使うことになります。
TRIBEX PRO 一脚はどんな人におすすめ?


- 自宅で物撮りをしていて、一脚を毎回片付けたい人
ハンドルとペダルが畳めて、ケースにすっきり収まります - 高さ調整の手間で撮影のテンポを崩したくない人
握って伸ばして離すだけ。3段が同時に動きます - 写真メインで、縦横を切り替えて撮る人
6285+L字ブラケットの組み合わせがおすすめです - DJI RSシリーズのジンバルを使っている動画勢
6286ならジンバルのプレートをそのまま載せ替えられます
選び方はシンプルです。写真が中心で、Arca-Swissのプレートやブラケットをすでに持っているなら6285。動画が中心で、DJIのジンバルと行き来するなら6286。脚の性能は同じなので、雲台とクイックリリースの規格だけで決めて大丈夫です。ただし動画用でも、重いレンズやリグを載せる予定があるなら、雲台の耐荷重と調整幅に余裕がある6285も候補に入れてみてください。
逆に、すでにお気に入りの雲台がある人は、雲台付きの2モデルより標準バージョン(6283)のほうが合っているかもしれません。また、座って構えるなど低い位置での撮影が多い人は、雲台込みの最低高約90cmで足りるかを先に確認しておいてください。
まとめ:片付けまで含めて「一脚がラクになる」1本


TRIBEX PRO X-Clutch油圧式一脚の写真用と動画用を、2週間使ってきました。
握るだけで伸び縮みする一脚はほかにもあります。そのなかでTRIBEX PROを選ぶ理由になるのは、撮っている最中だけでなく、撮り終わったあとまで快適なことだと感じました。ハンドルもペダルも畳めて、軽くて、ケースにすっと収まる。それでいて、立てておけば広い足幅でどっしり安定してくれます。
- 良かったところ
握るだけで3段同時に伸縮するX-Clutch、ハンドルとペダルが畳めて収納がコンパクト、雲台込みでも軽い、足幅が広く自立が安定、雲台とベースの着脱でローアングルや雲台の使い分けができる - 気になったところ
雲台交換用の受け部品が単品で未発売、他社のArcaプレートは円形の受けに付かない、最低高は雲台込みで約90cm(本体のみなら80cm弱)、ペダル解除後のロックには足で持ち上げる操作が必要、6286のビデオ雲台は縦位置にできない
価格は6285、6286ともに74,290円。一脚としては安くありませんが、カーボン脚に雲台とミニ三脚ベースまで付いていることを考えると、納得できる値付けだと思います。SmallRig Japanは10月13日〜19日のAmazonセールで、6285を15%オフ、6286を20%オフにすると予告しているので、検討中の方はこのタイミングを狙うのもアリです。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた〜!






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