この記事でわかること
- Wi-Fi 7規格で何が変わるのか
- Deco BE85の実行速度とメッシュ性能
- 10Gbpsポートを活かしたNAS接続
こんにちは!じゃが畑のじゃが(@jaga_farm)です。
自宅ネットワーク環境を10Gbps化して1年、ついに「Wi-Fi 7」の時代がやって来ました。今年登場したiPhone 16シリーズなどもWi-Fi 7に対応し、少しずつ対応端末が増えてきています。
今回ご紹介するTP-Link Deco BE85は、22Gbpsという桁外れの伝送量と10Gbps×2ポートを備えたまさにモンスター級のスペック。「Deco BE85」は高速なWi-Fi環境を求めるユーザーにとって待望の製品と言えるでしょう。
しかし高価なルーターだけに本当にそれだけの価値があるのか気になるところですよね。
この記事では、「Deco BE85」のスペックや特徴はもちろん、実際にセットアップしてみた様子、通信速度のレビュー、気になった点など10GbpsのNASを用いてローカル内のWi-Fi 7メッシュWi-Fiルーターの性能までレビューしていきます。
本当に一般家庭に必要なのか。実際に使ってみて分かった部分をを余すところなくお伝えします。

Deco BE85は国内最高の伝送量を誇るWi-Fi 7ルーターだよ。SFP+まで対応しており高速なインターネット環境、LAN環境を求める人にはピッタリ!
- Wi-Fi 7対応のメッシュWi-Fiルーター
- 最大22Gbpsと国内最高の伝送量
- 10Gbpsポート × 2搭載(RJ45ポートとRJ45/SFP+のコンボポート)
- VPN機能搭載
それでは【速すぎ注意】TP-Link Deco BE85レビュー | Wi-Fi 7爆速メッシュルーターの実力を書いていきます。
TP-Link Deco BE85の特徴
執筆時(2025年2月)Wi-Fi 7対応のメッシュWi-Fiルーターの中で最高スペックとなっています。


- Deco BE85本体 × 2
- RJ45 LANケーブル × 1
- 電源アダプター × 2
- Quick Installation Guide(かんたん設定ガイド)
Wi-Fi 7対応のメッシュWi-Fiルーター


TP-Link Deco BE85最大の特徴はWi-Fi 7対応のメッシュWi-Fiルーターであることです。
まずはWi-Fi 7って何がよくなったの?って方のために簡単にまとめてみました。
規格 | Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 6E (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 7 (IEEE 802.11be) |
---|---|---|---|
周波数帯 | 2.4GHz、5GHz | 2.4GHz、5GHz、6GHz | 2.4GHz、5GHz、6GHz |
最大通信速度 (理論値) | 9.6Gbps | 9.6Gbps | 46Gbps |
最大帯域幅 | 160MHz | 160MHz | 320MHz |
変調方式 | 1024-QAM | 1024-QAM | 4096-QAM |
MU-MIMO | 最大8×8 | 最大8×8 | 最大16×16 |
主な新機能 | OFDMA TWT WPA3 | Wi-Fi 6の機能 + 6GHz帯対応 | MLO Multi-RU Puncturing |
メリット | 高速通信 省電力 安定性向上 | 高速通信 干渉の少ない6GHz帯 | 超高速通信 低遅延 安定性向上 |
デメリット | 対応機器が必要 | 6GHz帯は到達距離が短い | 対応機器が少なく高価 |
- 通信速度の大幅な向上 Wi-Fi 7は、理論上の最大通信速度が46Gbpsに達します。これはWi-Fi 6(9.6Gbps)の約4.8倍に相当し、もはや有線以上の規格値ですよね。。 高速化の理由は、320MHzという広い帯域幅や、4096-QAMという新しい変調方式の採用によるものです。 /ふきだし 1度に多くのデータが伝送できるようになり、高速化を実現しています!
- 帯域幅の拡大 Wi-Fi 7では、従来の160MHzから320MHzへと帯域幅が倍増。これにより、データの送受信量が大幅に増加し、より多くのデバイスを同時に接続可能です。
- マルチリンク操作(MLO) Wi-Fi 7では、2.4GHz、5GHz、6GHzの複数の周波数帯を同時に利用可能。これにより、通信の安定性が向上し、遅延が大幅に低減されます。 例えば、オンライン会議中に家の中を移動しても、接続が途切れることなくスムーズに帯域を切り替えられます。
- 高効率なデータ伝送 4096-QAM(直交振幅変調)により、1シンボルあたりのデータ量が増加。これにより、従来よりも効率的にデータを送信できるようになりました。
- 低遅延性能 高速通信だけでなく、遅延が大幅に改善されているため、オンラインゲームやVR/AR、ビデオ会議などリアルタイム性が求められる用途に最適です。
このようにWi-Fi 7ではWi-Fi 6と比べてさまざまな点が進化しています。
特にMLO(Multi-Link Operation)によって同時に2.4/5/6GHzを使えるようになったため、電波強度によって最適な周波数を使って最速で通信することが可能です。
充実の有線ポート


- 10Gbps × 2(うち1つはRJ45/SFP+コンボポート)
- 2.5Gbps × 2


Deco BE85はスイッチングハブに劣らない充実の有線ポートを搭載しています。10Gbps対応ポートが2つあるので親機では1つインターネット接続に。もう1ポートはNASやPC向けなど好きに使うことができます。
他2つも2.5Gbps対応ポートなのでインターネットを見るなどの用途であれば速度の遅さを感じることは全くなく、充実の有線ポートと言えます。
TP-Link Deco BE85のレビュー
それではTP-Link Deco BE85の実機を使ったレビューをしていきます。
セットアップが容易
TP-link Decoシリーズはほかも同じですが、スマホから初期セットアップすることができます。Decoアプリより画面の指示に従っていけば設定が終わってます。
Wi-Fi 7になったからといってこのセットアップが複雑になったということはなし。簡単な流れだけ紹介しておきます。
- Deco BE85の電源投入とWAN回線のケーブル接続
- Deco BE85とスマートフォンを接続して、インターネット回線契約情報を入力
- SSID(ネットワーク名)とパスワードの設定






セットアップは全てアプリの指示に従えば簡単に終わります。機種を選択して、ケーブルを接続後に本体電源を投入しました。




インタ-ネット接続タイプを指定。上記写真のような種類があり、一般的に使われているものは全て網羅されています。
インターネット回線提供者からもらっているユーザー名やパスワードの契約情報を入力していきましょう。




最後にWi–Fiのネットワーク名(SSID)とパスワードを設定していきます。
SSIDは分かりやすい名前、パスワードは様々な種類を混ぜた強固なものを設定しましょう。


ちなみに初期セットアップだけだとWi-Fi 7の目玉であるMLO機能がOFFをになっているので、Wi-Fi 7対応端末をお持ちの方は手動でONにしてさらなる高速通信を味わいましょう。
インターネット10G回線での実力は!?


Deco BE85を導入するときには一緒に導入したいインターネット10G回線。ぼくの家はすでに導入済みでWi-Fi 6E対応のDeco XE200がありましたが、Wi-Fi 7にどの程度高速化するのか楽しみです。
測定箇所 | Deco BE85 1ユニット | Deco BE85 2ユニット |
---|---|---|
リビング①(Wi-Fiルーター直下) | 2.1 Gbps | 2.1 Gbps |
リビング②(Wi-Fiルーターから数m離れた) | 1.8 Gbps | 1.8 Gbps |
寝室 | 740 Mbps | 1.3 Gbps |
子供部屋 | 650 Mbps | 990 Mbps |
風呂場 | 630 Mbps | 950 Mbps |
1ユニットでもかなり強い出力があるDeco BE85では、1ユニットでも家中のWi-Fi接続を十二分にカバーしていますが、2ユニットにすることで家中どこでも約1Gbps超えの環境を実現できることがわかります。iPhoneのアンテナがMAXから下がることが一切ありません。
ちなみにDeco BE85はWi-Fiルーターですが、10Gbs × 2ポート・2.5Gbps ×2ポートに対応しており、10GbEthernetのハブのような使い方もできます。ここまで10GbEthernetが2ポート搭載されているのは個人的には嬉しいところ。


10GbEthernetでのインターネット速度も測定してみました。結果はダウンロード速度で4.5Gbpsと圧倒的速度!BE85であれば10GbEthernetのハブとしても使うことができるため、自宅内に10GbEthernetを張り巡らせたい人にはおすすめできます。
2.5GbEや10GbEthernet対応のNASを接続してみた


- 親機配下
- 子機配下
Deco BE85のメッシュWi-Fiは高速なバックボーン通信で大容量通信を必要とするNASなどの端末を子機側に置くことも実現できます。子機側にNASを接続することでリビング内のDeco BE85周囲はきれいに配線。子機側にnasneやNASを接続することで配線整理や環境整備といった意味でも効果があります。
Wi-Fi 7のバックボーンで接続されたDeco BE85は理論値として22Gbpsなので、nasne内の動画を再生するのはもちろん、NAS内に4K動画を保存していても再生が止まることはもちろんありません。
子機側に設置することで生じる速度低下がどの程度のものなのかNASでローカル環境の実行速度を測定してみました。
測定項目 | 測定結果 |
---|---|
親機(メインルーター)にNASを直接接続 | 1176.80MB/s 1177.47MB/s |
子機(サテライト)にNASを接続 | 1176.80MB/s 1177.47MB/s |
- シーケンシャルアクセス(大容量データ転送)にて測定した結果
このように子機側でも強力なバックボーンとして親機側に直接有線接続されている端末と比べてもほぼ変わらないパフォーマンスで実現することができます。正直子機に接続したときは速度低下すると思ってましたが、これはすごい。



NASはインターネット関係なくローカルの話だからほぼほぼ規格値に近い値が出ていることがわかります。
ただこれは大容量の動画データなどをやり取りしたときの速度。ストレージの話になりますが、小サイズのファイルを大量に送ったときは速度が遅くなることを経験したことはないでしょうか。細かいファイルを大量に転送したときの速度測定結果はこちら。
測定項目 | 測定結果 |
---|---|
親機(メインルーター)にNASを直接接続 | 127.83MB/s 119.18MB/s |
子機(サテライト)にNASを接続 | 37.98MB/s 40.14MB/s |
これは速度結果が顕著に見えますね。親機に直接つながるとデータがすぐ送れるのに対し、子機の場合はデータがまず子機で「中継」されます。その後、親機に届くので途中で追加の処理が入って通信が遅くなるのです。
逆に先程のシーケンシャルアクセスの測定結果では1つのデータを連続して送信できるため、余計な中継処理がほとんど発生せずに親機・子機ともに変わらない結果が出たと言えます。



つまりこの結果から分かるのは、大容量の動画データなどを保存しておきたいだけならBE85の子機側にNASを置いても有線接続とほぼ同じ速度が出せるということだね!
TP-Link Deco BE85の気になった点
それではTP-Link Deco BE85の気になった点をまとめていきます。
価格は高い
Deco BE85はメッシュWi-Fi用途として購入する人が多いかと思います。その場合執筆時のAmazon価格で77,273円となっていました。スペックを見ると高くないのですが、一般的にWi-Fiルーターの価格としたらもっと下かと思います。
インターネットを高速(2.5Gや10G)にしたい!やWi-Fi 7に対応させたいという用途であれば、同メーカーのArcher BE450が2万円以下とおすすめです。
Deco BE85はメッシュWi-Fiが必要か、最大22GbpsのWi-Fi性能が必要かなどが導入の決め手になるかと思います。同様にWi-Fi 7対応のDeco BE75もありますが、10Gbpsポートは1つだったりするので個人的にはDeco BE85がお得可と思います。
ジャンボフレームを使いたかった
Deco BE85は10Gbps対応の有線ポートを備えているため、NAS接続時にジャンボフレームを利用したいと考える方もいるでしょう。ただし一般的にメッシュWi-Fiの中継(バックホール)が無線通信の場合、ジャンボフレームは利用できません。
ジャンボフレームとは:データ転送する1フレームのサイズを拡大することで、フレームの交換数を減らして効率化を図るというもの(NASなどに大容量データを伝送するときに若干高速になります)
理由
ジャンボフレームは有線イーサネット向けの仕様であり、Wi-Fi規格ではサポートされていません。特にメッシュノード間を無線で接続している場合、経路上のMTUがWi-Fiの上限(1500バイト)に制限されるため、端末側でジャンボフレームを有効にしても通信エラーやパフォーマンス低下が発生します。
例外ケースの注釈
同一のDecoノードに有線接続された端末間の通信では、無線バックホールを経由しないため、ジャンボフレームが機能する可能性があります。ただしDecoのファームウェアが現状MTU設定を許可していません。
TP-Link Deco BE85はどんな人におすすめ?


最後にTP-Link Deco BE85はどんな人におすすめなのかまとめていきます。
- 自宅に10Gbpsの高速インターネット回線を導入している人
- Wi-Fi 7対応の最新デバイスを持っている、または今後購入予定
- 10GbEthernet対応のNASを持っている人
Deco BE85の真価を発揮するには、高速なインターネット回線が不可欠です。自宅や事務所に10Gbps回線を契約しているなら、その速度を最大限に活かすことができます。複数人で4K動画を再生しても一切遅延を起こすことはなく頼もしい存在です。
またWi-Fi 7端末の普及は発展途上中なところはありますが、今から購入するならWi-Fi 7対応のルーターが断然おすすめ。自宅に有線LANを張り巡らせることが難しい人にとって、Wi-Fi 7の高速大容量通信は特に役に立ちます。
小規模な事務所でも使うことのできる10GbEthernet対応のNASをお持ちの方は、Wi-Fi 7のバックボーンを使うことのできるDeco BE85は特におすすめ。子機側にNASを設置してもそこまでの速度低下はなかったため、仕事での使用や大容量のデータを取り扱うクリエイターなどの通信環境としてもおすすめできます。
まとめ
Wi-Fi 7対応のメッシュWi-Fiルーター Deco BE85をレビューしてみました。


- Wi-Fi 7で構築できる最大22Gbpsの大容量伝送
- 10Gbpsポート × 2、2.5Gbpsポート × 2の充実した物理ポート
- 発熱が少なく取り回ししやすい光コードを使うことができるSFP+ポート採用
- セットアップがアプリから容易
- Wi-Fi 7を使ったバックボーンは子機側にNASを置いても高速に動作
- 導入価格は高い
- ジャンボフレームの設定項目なし
執筆時点(2025年2月)で最高スペックのWi-Fi環境を構築したいならDeco BE85で間違いありません。
BE22000までの大容量通信は流石に必要ないと思った方には、同メーカーの下位モデルにBE17000対応のDeco BE75があります。しかし10Gbps × 1・2.5Gbps × 3ポートとなっており、10GbEthernetの拡張ができないのは個人的には痛い点です。
販売価格が少し低いためお財布と相談しながら選ぶことをおすすめしますが、10GbEthernet対応のスイッチングハブを導入するより安く済むことは間違いありません。
また絶え間なく増え続ける家族写真の保管方法としてクラウドに契約して毎月お金を支払う方法もありますが、個人的毎月の支出は抑えたいのでNASが好ましいです。転送速度の早い10GbEthernet対応のNASとDeco BE85の相性はぴったりでメッシュ性能を最大限活かすことができました。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた〜!
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